Q47 株式会社の機関設計 会社法の施行により株式会社の機関設計が柔軟化されたと聞きましたが、具体的にはどうなっているのでしょうか。

株式会社として農業法人を設立する場合に、大事なことがあります。具体的に株主に代わって意思決定をし、さまざまな行為をする株式会社の機関を決める必要があるのです。
基本的には、会社法は、株主総会と取締役を必須の機関としながらも、取締役会、代表取締役、監査役等の機関の設置については、会社の自主的な判断を尊重し、会社の成長段階、規模等に応じて、一定のルールに基づき定款でもって柔軟に決めることができるようになっています。そのルールは、大きく分けて、会社の規模と株式の譲渡制限の有無によって違っています。
まず、会社の規模として「大会社」に該当するかどうかが問題となります。大会社とは、①最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であるか、または、②最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額が200億円以上である会社をいいます。大会社として設立する場合には、株式の全部に譲渡制限が付けられている場合を除いて、取締役会の設置が必要となります。
ただ、実際の農業法人として株式会社を設立する場合のほとんどは、これに該当しません。
つぎに、公開会社であるか否かが問題となります。公開会社とは、その発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない会社のことをいいます。
農業法人の場合、農地を利用する場合のほとんどであり、その場合には、農地法の要件を充たす必要があり、その要件として「公開会社でないこと」が要求されています。
結局、農業法人として株式会社を設立する場合には、大会社でなくかつ公開会社でもない株式会社であることを前提として、その機関の仕組みを検討することになります。
この点で最も大事な点は、取締役会を設立の段階から設置するかどうかです。
株主の数が少なく、比較的株主総会の開催が容易な場合においては、取締役会を置かずに、株主総会と取締役だけで会社の機関を構成することができます。このとき、取締役の人数については制限がありませんから、取締役は1人でも可能です。取締役は原則会社を代表する権限を持っていますが、定款又は定款の定めによる取締役の互選または株主総会の決議により、取締役の中から代表取締役を定めることも可能です。
取締役会を置かない場合のその他の機関の組み合わせは次のとおりです。

【取締役会を置かない場合の機関の組み合わせ】
・株主総会+取締役
・株主総会+取締役+会計参与*1
・株主総会+取締役+監査役*2
・株主総会+取締役+監査役+会計監査人*3
・株主総会+取締役+監査役+会計監査人+会計参与

*1:会社の計算書類の正確性を担保するために、取締役と共同して計算書類等を作成する機関として会計参与を定款で任意で設置することができます。会計参与は、税理士、公認会計士その他の一定の資格が必要です。
*2:取締役の業務執行に対して監督する役割を期待して定款で監査役を任意で設置することもできます。
*3:会計の監査をより充実するために公認会計士等の会計監査人を置くことも可能です。ただ、監査報酬の負担を必要とするため、実際には置かれることは少ない。

これに対して、設立の段階から、株式数・株主数もある程度多数となることが予定され、実際の経営判断も専門的多岐にわたるような会社の場合であれば、会社の機関としては、株主総会及び取締役以外に、定款の定めにより取締役会を設置することができます。取締役会を設置するには取締役は3名以上選任する必要があります。このときには、後述する委員会設置会社を除き、取締役会で代表取締役を選任します。その他の機関の組み合わせは次のとおりです。

【取締役会を置いた場合の機関の組み合わせ】
・株主総会+取締役会+代表取締役
・株主総会+取締役会+代表取締役+監査役*1
・株主総会+取締役会+代表取締役+監査役+会計参与
・株主総会+取締役会+代表取締役+会計参与
・株主総会+取締役会+代表取締役+監査役+会計監査人

*1:監査役を3人以上選任し、監査役会を構成することもありますが、実際にその例は少ない。
*会計参与、会計監査人の説明は、前述の取締役会を設置しない会社の場合と同じです。

なお、取締役会を設置する会社においては、取締役会の決議によって選任された執行役が業務の執行に当たり、取締役がこれを監督する委員会設置会社という仕組みも定款で定めれば可能ですが、設立の段階から採用することは稀です。

 

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